ロゴデザインを制作する際、「何を形として表すか」という事も大切な要素の一つとなります。
この記事では、ロゴ作成における発想やアイデア、モチーフのヒントを、ホタルロゴの制作例と共に紹介します。
【目次】
1.イニシャルをモチーフにする。
社名やショップ名のイニシャルをロゴとして制作するパターンです。特に企業やブランドのロゴでは多く使われているモチーフです。
ロゴとして使用されている事が多いためありがちな面はありますが、
・ロゴを見た時に、社名やサービス名と結びつきやすい(連想しやすい)
・覚えやすく、会社の認知につながる
・アプリアイコンやファビコンに展開しやすく、わかりやすい
・企業らしい堅実さや信頼感を出しやすい
などのメリットがあります。
よく知られている企業の例ですと、JRや楽天、GUのロゴなどでしょうか。また、SONYやIKEAなどのように
イニシャルだけでなく名称がそのままロゴとなっている例もあります。
社名イニシャルのNDをモチーフにしたデザインです。
建設会社のロゴデザインです。Uを影で描く事によって、「縁の下の力持ち」というテーマも表しています。
イニシャルのHとMを、ネガポジ反転した表現で描いたデザイン例です。
イニシャルと言っても、アルファベットでなければならないというルールはありません。
上の二つの例のように、名称の頭文字の漢字(辻、空)をモチーフにするのも一つの手です。
2.名称の由来をモチーフにする。
社名やショップ名に込められた由来、意味をモチーフにするパターンです。抽象的な印象となる場合もありますが、
・イニシャルに比べ表現の幅が広がる
・ロゴを見せて説明する機会が作れる=コミュニケーションや会話のきっかけとなる
などのメリットがあります。
社名から、富士山をモチーフにしたロゴデザインです。これは、1のイニシャルモチーフに感覚が近いかも知れません。
社名には、「ずっと変わらない」「ずっと愛される」という事が込められています。
そこから発想し、同じ形のシルエットが続いているデザインにする事で、時を経ても変わらない姿を表しました。
焼肉店のロゴデザインです。「一日一善」「1日の中で、少しでもお客様にとって善となる事をする」という想いが込められた由来から、
それを象徴する「善」の漢字をロゴ化しました。
社名に具体的な物の名前(ベル)が入っている事から、それをモチーフにする事で覚えやすいロゴを制作しました。
ご依頼当初はイニシャルモチーフを想定されていましたが、ベルをモチーフにする事で、より会社と関連性の高いロゴとなった例です。
3.業種やサービスをモチーフにする。
取り扱っているサービスや業種をロゴとして表す事によって、
・何の会社やお店かわかりやすい
・そのサービスの専門性、プロフェッショナルなイメージをアピール出来る
というメリットがあります。将来的に別事業も展開した場合に使用しづらいという面もあり、お店のロゴとして使用しやすいモチーフと言えます。
歯医者さんなら歯、動物病院なら犬や猫というように、クリニックに特に多いタイプだと思います。
イニシャルの中に雷マークを組み込む事で、電気工事会社である事をわかりやすく表したロゴデザインです。
金属加工会社のロゴです。こちらもベースはイニシャルですが、アルミやステンレスをイメージした金属感、光沢感を施す事で業種と専門性をわかりやすくアピールしました。
ネイルサロンのロゴです。イニシャルのMを、爪を組み合わせて描いています。
リフォーム店のロゴです。必ずしもシンボルマークとしてモチーフを表す必要はなく、このように、文字の周囲(または一部)にアイコンのようにあしらう事で
業種をアピールする事も出来ます。
4.理念やポリシー、キーワードやテーマをモチーフにする。
事業をしていく上で、大切にしている事や伝えたいメッセージを表した例です。
・2の社名由来と同じく、説明する事でコミュニケーションのきっかけとなる
・外部だけでなく、社内に対してもロゴを提示しながら理念を説明し浸透・理解させやすい
などのメリットがあります。ただし一見抽象的な印象となる事が多く、お店やサービスのロゴとしてはわかりにくい傾向があります。
人材関連の会社のロゴデザインです。「ヒト」「モノ」「技術」を繋ぐ、というコンセプトを大切にされている事から、
異なる形状の三者が繫がり合った様子を表したデザインを制作しました。
人々の交わりや広がりを表したロゴです。
不動産会社のロゴデザインです。「心からリラックス出来る」「心を大切にする」という理念を表現するため、ズバリ「心」の文字をシンボルとしてデザインした例です。
5.イメージを表現する。
「親しみやすい」「明るい」「敷居が高い」「重厚感」など、いわゆる感覚的なイメージを表すパターンです。
「弁護士事務所だけど親しみやすい印象を出したい」「歴史ある企業として厳格なイメージを出したい」などのように、
・会社やお店が発信したいイメージを正確に伝えやすい
などのメリットがあります。また、業種を限定した印象を与えたくない場合なども使用しやすいと思います。
取り扱い商品の高額な価格帯やサービスの質の高さ、富裕層をターゲットとしたイメージを出すため、高級感をテーマとしたデザイン例です。
上の例とは逆に、温かみや親しみやすさをアピールした例です。
上のロゴ例のように、「和風イメージ」というような場合もあります。
6.地形や地域性をモチーフにする。
地域に関連性のある物をロゴにする例です。
・独自性を出しやすい
・地域との密着性や根ざしたイメージをアピール出来る
などのメリットがあります。
全国展開しているようなチェーン店には不向きですが、美術館などのように、施設のロゴで時々見かけるアイデアです。
関西のクリエイターが集まったチーム、という事から、関西の地形を抽象化したロゴです。
ホテルのロゴです。ホテルが建っている場所を表した地図をモチーフにしています。
交差する直線が地図上の道路で、左下にある四角形でホテルがある地点を表しています。
岸和田に関連したサービスを行う会社のロゴとして、だんじり祭りの法被をモチーフにして制作したデザインです。
他にも、ロゴを制作する建物の形が特徴的な場合、それをモチーフにするのもアイデアの一つです。
7.キャラクター化する。
動物や人間をモチーフとして、キャラクター的に描いた例です。
・親しみやすく、安心感が強い
・覚えられやすい
・暗い印象や近寄りがたさを感じられやすい業種の場合、そうじゃない事をアピールできる
などのメリットがあります。
歯医者さんのロゴデザインです。リスをモチーフにする事で、「あのリスの歯医者さん」と覚えられやすい事や、子供達にも明るく親しみやすい印象を持って頂けるようにしています。
営業用の業務システムとして制作したロゴデザインです。キャラクターを組み合わせる事でゲーム性を感じ堅苦しさのないデザインにしています。
また、ロゴのモチーフとしてメガネザルはあまり使用されていない事もあり、「メガネザル=このシステム」と認識・認知されやすくなっています。
以上、7パターンの例を紹介致しました。
モチーフを考える際も、まずは「どんな会社(お店・サービス)で、誰に、どんな事を感じて欲しいか、何を伝えたいのか」といった事が根幹となり、
それを踏まえた上でどんなモチーフが適しているかを選択するのが良いかと思います。
ロゴデザイン制作においては、「ただプレゼンをうまく運ぶ目的」で「アイデアの突飛さや発想の斬新さ、面白さ」をアピールするために作るのではなく、
なぜそのモチーフが良いのかしっかりと検討する事が、「お客様にとって良いロゴ、適したロゴ」を提供できる結果に繋がると考えています。